1991年発表の2ndアルバム"Gothic"により、ゴシックメタルの始祖となった
PARADISE LOSTの10thアルバム。
7thアルバム"Host"以降の作品は未聴ですが、音楽的には若干拡散傾向にあったようで、
ファンの間でも賛否両論(と言うか、否の方が多そう)あったようです。
で。10作目で自らのバンド名をタイトルに冠したのは、原点回帰と言う事なのでしょう。
と言っても、1stアルバム"Lost Paradise"期のデスメタル的な音楽性ではなく
2ndアルバム"Gothic"~6thアルバム"One Second"期、つまりは全盛期への回帰です。
当初、買うつもりはなかったんですが、グロテスクでありながら
背徳的な美を感じさせるアートワークに強烈に惹かれ買ってしまいました。
所謂ジャケ買いってやつですね(ちなみに
Seth Siro Antonという人の作品です。
THE DUSKFALLや
NIGHTRAGEも手がけているようです)。
内容は想像していたものを遙かに超えていました。
いやいや、本当に凄い。捨て曲無しとはこのアルバムのためにあるような言葉です。
イギリスのバンドらしく、決して甘すぎず、時にはほろ苦さを感じさせる歌メロ、
耳に絡みつくGregor Mackintoshのギター、派手さはないもののツボを押さえた
ドラム(サポートドラマーのようですが)と、ベテランの味を存分に発揮しています。
若干堅めにまとめられたプロダクションも文句なし。
特にドラムは、実際に叩いているのが見えるかのような素晴らしいサウンドに
仕上がってます。
高い実力を持つバンドが、作るべき作品をしっかりと見据え
妥協無く仕上げた、そんな作品です。隙が全く見あたらない。
ゴシックメタルというジャンルを創造しながら、後続に追い抜かれていた感がありましたが
かつての自分たちを遙かに凌駕する作品を持ってここに復活しました。
PARADISE LOST恐るべし。
しかし、これほどの作品が国内発売無しってどーゆーこと?